三毛猫の誕生

動物の雄雌を決定するのは性染色体で、メスはXX型、オスはXY型と表現されます。   

両性とも一つのX染色体を持ち、最後の染色体が「X染色体の場合はメス」になり、最後の染色体が「Y染色体の場合はオス」として誕生します。  

猫の赤毛色の遺伝子(O)はX染色体に伴って伝えられる「伴性遺伝」です。

Y染色体は毛色を決定する遺伝子を持ちません。

1つのX染色体は、1つの毛色を表現できる遺伝子を持っています。したがって、メスにはXが2つあるため、赤毛遺伝子(O)を2つ持っている猫、赤毛遺伝子を1つ持っている猫、赤毛遺伝子を持たない猫の3種類が存在します。この内、赤毛遺伝子を一つだけ持っている猫が二毛、混色、あるいは三毛になります。これはX染色体が、体のアル場所では赤毛遺伝子を持ったほうが働いており、他の部分では赤毛遺伝子を持っていないほうが働く、といったとくしゅな働き方をしているためです。 

この3匹は、XX型のメス猫です。左上(黒の変化した茶トラの中に、肩口に赤のトラが入っています)  左下(血統猫のエキゾチックのようですが、黒の中に赤が見えます)  右の顔(キジトラと赤トラの三毛です)

           

以上の前提に基づいて考察すると、

2つの異なる毛色(黒系と赤系)を同時に持つ猫は、2つのX染色体を持っていなければならず、XX型として全て『メス』になります。

「日本猫では混色(赤と黒の斑)と三毛です。」

三毛は「黒」と「赤」この2つの毛色を持った猫に白斑遺伝子(S)が働いて「白」が加わったメス猫なのです。




例外として三毛の雄が生れるのは、性染色体の異常XXY型が原因で、立派なオス相をしていても大半が生殖不能になります。

三毛猫がメスに限られている理由は、1946年に京都大学の駒井卓博士(遺伝学)が研究発表した学説が基礎になっています。

写真提供:月刊誌「Cats」(ペットライフ社)
監修協力:新本洋士、新本美智枝、参考文献:「猫種大図鑑・The ENCYCLOPEDIA of the CAT」(ブルース・フォーグル著、小暮規夫監修、緑書房、ペットライフ社)、「YOU&YOUR CAT」(David Taylor著、Alfred A.Knopf発行)「猫の用語事典」(小島正記著、誠文堂新光社)「大日本百科事典」(小学館)、「CAT CARE」ANDREW EDNEY著、DK PUBLISHING,INC.)「猫の百科」(朝日新聞社)「新国語中辞典」(三省堂)「ネコの種類と選び方百科」(誠文堂新光社)「画本・猫の事務所」(宮沢賢治著、小林敏也画、パロル舎)