『むぎわら』

編集者から「むぎわら」って知っていますか、と電話がありました。
「読者の手紙に、日本猫の毛色で『むぎわら』って書いてあるのですが?」「あっ、そう」と答えたものの、この毛色を電話で説明するのに、ちょっとした苦労がいります。  

「むぎわら」は、トービー(縞模様のトーティ)のことで、全部メス猫なんだけど、日本風に言えばキジトラとかサバトラに赤が重なるように入っているのだけれど、その赤もトラになっているから、まだら模様のぼやけたトラだね」と答えましたが、電話の向こうで首を傾げているようなので、もう少し詳しく話します。      

「キジトラやサバトラの毛色は、褐色の混ざり毛で不鮮明なトラ縞になって、魚屋さんに並んでいる鯖のような縦縞のイメージの模様、それに薄い色の赤トラが混じると全体に不鮮明な色合いになって、それがムギワラだけど、・・・そう言えば、使い古しのムギワラ帽子のような色だよ」と、念押しをしましたが、はたして、分かってもらえたかどうかは不明です。

それからしばらくは、「むぎわら」について猫友に聞いてみましたが、誰も正解がありませんでした。むぎわらを知っていれば、きっと、たいした猫博士に違いないと思っています。

上の写真が「むぎわら」のイメージですが、ちょっと黒の色が強すぎるかもしれません。キジトラで不鮮明な縞の場合にもむぎわらと呼ばれます。また、サビと呼ばれる場合でもムギワラがありますが、ようするに、麦わらに見えるかどうかのイメージです。
トーティは黒の色がパッチになって、トービーは黒が縞になっています。

月刊誌「ねこ倶楽部」より(休刊・誠文堂新光社)