『単色(たんしょく、ソリッド)』

単色は全身が一色の毛色です。

日本猫の単色は「黒と白」に限られ、赤にはトラの縞があるので「茶トラまたは赤トラ」と呼ばれるのが一般で、黒には、クロ、クマ、カラス猫などの呼び方があります。 

黒を薄めた劣性色である灰(はい、ブルーまたはグレー)は、希少な毛色ですが、日本人の好みの気質に適さなかったようです。(諸外国では一般にブルーとして知られ、希少な毛色として、ロシアンブルー、シャルシリュー、コラットのようにオリジナルの血統猫になっています)

白猫は西洋で貴婦人に例えられますが、黒猫は魔女の使いとして、黒猫を見ると不幸になると迷信があります。        

日本では反対に、猫が目の前を走って横切ると良いことがあるとか、不幸や事故から身を守ってくれると言われ、中でも、黒猫は吉猫とされています。もっとも、白猫の金目銀目は飼い主に幸運をもたらすとか、三毛猫のオスは船主の守り神とか、日本人は基本的に猫好きなのです。

宮澤賢治の「猫の事務所」は、いばった事務局長は黒猫で、一番書記は白猫、二番書記は虎猫、三番書記は三毛猫、主人公らしき四番書記はかま猫と言って、かまどで寝るからすすけていたとか、読めば読むほど猫らしいばかばかしい楽しさにあふれています。

1,白(しろ、ホワイト)         

全身が純白、白雪をイメージさせる白で、どこにも混ざり毛はありません。      

子猫の時に頭の上に黒い色(まれに赤)がある場合がありますが、これは先祖の色(ゴーストマーク)と言われ、やがて成猫になると消えます。 

白は金目が一般的ですが、銀目、そして左右の目色が異なる金目銀目も知られています。 また、白の毛色の遺伝子は、他の毛色の遺伝子より上位にあるので、オス・メスのどちらかが白の場合は、相手の毛色に拘わらず、全ての子猫が白になる場合と、子猫の半分が白になる場合との二通りがあります。また、オス・メスの両 親が白でも、1/4の確率で子猫に黒や赤、縞などが生まれる組み合わせもあります。



日本猫の目の金色は、血統猫の銅色(カッパー)の目色とは異なって、黄色が強く、薄い緑がかった色合いが大半です。へーゼルと呼ばれる目色です。

青い目(ブルーアイ)の白は、大抵が耳聞こえませんが、この上の猫ちゃんは、耳の付け根に茶系の色があることから、シャム系の血が入った混血でしょう。この場合は耳も聞こえます。

うえの写真は、金目銀目の白(この猫のように濃い青の目色は外来のようです。金目銀目の猫は飼い主に幸せをもたらすと伝えられています)



左の写真は、カッパ―の目色を持つ猫ちゃん()この目色は日本猫にはありません)

2,黒(くろ、ブラック)  

黒は漆黒(しっこく)と言われるように、全身が真っ黒で漆塗り(うるしぬり)の光沢を見せ、差し毛、ゴーストマーク(薄い縞)の入らないものを理想とします。また、烏猫、烏の濡れ羽色(からすのぬればいろ)とも表現され、磨けば磨くほどつややかになります。 

いろいろな説明では、体のごく一部に白のあるものも黒とする場合もありますが、遺伝的な要因からは、黒とはしないで、黒の白斑入り(くろのしろはんいり)と分類するのが正しいのです。(右の写真を参考)


3,灰(はい、グレーまたはブルー)  

左の写真はロシアンブルーの赤ちゃんです。

現在に見られる灰は、血統猫との混血が大半です。しかし、日本猫にも黒の劣勢色である灰(大半に濃い縞が見られた)が静岡以西で希に見られたとも伝えられます。(また、日本猫には劣性色、灰やクリームはいないとする説も強いようです)

注目:赤の毛色には基本的に縞があり、特に改良されなかった日本猫の赤にはトラの模様が強いので、ここでは縞に分類しています。