『トラ』(トラ、サバ、縞・しま、タビー)

トラの毛色に属するのは、赤トラ(またはアカ、茶トラ)、サバトラ(またはサバ)、キジトラ(またはキジ)があって、雲型(クラシックタビ―)は、めったに出てこない模様です。  

トラの縞がポツンポツンと切れている場合は、一般に豹(ヒョウ)と言われます。トラの毛色の猫には、アイラインがあるので、目が印象的です。

トラの特徴として、濃い縞の部分の毛は、1本1本の毛が、根元は薄い色で途中から濃い色になっています。また、根元から毛先まで、いくつかの濃淡になっている場合もあります。そして、色の薄い集まりが地色になり、色の濃い集まりがトラの模様になります。さらに、くわしく見ていると、トラの模様は人の指紋と同じで、1匹1匹、全てが異なっているのです。 

また、日本猫を含め、イエ猫のルーツはリビアヤマネコ、またはその亜種なので、全ての猫の毛色は、いろいろなトラ縞(主にキジトラ)から発生しています。  


4,赤トラ(あかとら、レッドタビー、茶トラ) 

赤トラの呼び方には、他に赤(あか)、虎(トラ)、茶トラ(チャトラ)があります。 全体の色調は、黄茶の交じったの薄褐色で、明るい地色(黄茶、明るいオレンジ色)の中に、濃い縞模様(赤褐色、濃いオレンジ色)が見られます。

全体に縞の模様が濃くはっきりした色調と、薄い色調などがありますが、名称は全て「赤トラ」にしています。

5,キジトラ(ブラウン・マッカレルタビー) 

雉虎(きじとら)の呼び方には、他に雉(きじ)、雉毛(きじげ)、蓬(よもぎ)などがあります。色合いは地色(灰色がかった茶褐色、またはくすんだ銅色)の中に、黒または濃い茶褐色の縞があります。

血統猫のブラウンタビーの毛色を連想しますが、日本猫の縞は、それほど鮮明でないのが特徴で、チリチリしたイメージです。キジトラとサバトラの色の関係は明確にされていませんが、ここでは茶系をキジトラ、黒系をサバトラに分けています。

6,サバトラ(マッカレルタビー)   

鯖虎(さばとら)の色調は、地色は銀色がかった灰色(くすんだ霜降り状)の中に、黒(真っ黒ではなく、くすんだ黒、薄れた黒が多い)の縞模様が見られます。日本猫のサバトラは、地色と縞のコントラストが鮮やかでない場合が多いようです。  

また、サバトラを毛色ではなく、縞模様とする場合もありますが、ここでは1つの毛色としています。キジトラとサバトラは、混ざっていることが多いので、中間の色が出やすいようです。  

上の写真のように黒系のトラ模様がサバトラのイメージです。



左の写真のように銀色系は、古来の日本猫には見られなかった毛色のようです。

7,雲型(くもがた、クラシックタビー)  

雲型は模様を示して、毛色はそれぞれのトラと同じです。模様はアメリカン・ショートヘアのクラシックタビ―と言えば分かりやすく、背中に沿って2〜3本の縞があり、脇腹に渦巻き状の縞があります。   

日本猫にはめったに見られなかった模様ですが、いつの頃から雲型と言う呼び方が現れたのか、それもはっきりしませんし、日本猫の場合は稀に生ても改良されることがなく、遺伝的にもトラより弱いので、いつの間にか消えていったのでしょう。(存在した毛色は、乱れた模様が大半で、腹部が白い場合が多いようです)

「1975年に日本猫について調査したとき、日本猫の好きな友人宅に、背中と脇腹が十文字の猫が生まれたと聞いて見に行きましたが、雲型の崩れた模様で、下腹部は白でした。それ以来、個人的には雲型(崩れていたとは思います)の存在を信じています。」(KT)

血統猫のアメリカンショートヘアーに代表されるクラシックタビ―(雲型)の模様。

その昔々、ヨーロッパでは、野生の猫とか半野生の猫たちはトラの縞模様で、家庭で飼われるイエ猫が、このクラシックタビ―であると考えられていたことがあります。

8,豹(ひょう、スポットタビー)    

ヒョウは、トラの縞が点々に切れて斑点(はんてん)に見えます。

野生猫のイメージから、縞模様の「トラ」に対して、斑点柄の「ヒョウ」と言われますが、日本猫の斑点は、くっついていたり長かったりしている場合が多いのです。 また、白の中にヒョウ模様のパッチがある場合は、ヒョウの二毛と呼びます。