『混色』(こんしょく、トーティシェル)

混色には、錆(サビ)、鼈甲(ベッコウ)などの呼び方ががありますが、口悪くゾーキン猫とも言われます。同一の毛色とする場合と、色調の違いで明確に分ける場合がありますが、ここでは区分しています。

猫の毛の原色は赤と黒の2色です。(白の毛色は突然変異による優性白色です。すなわち、見た目の白い毛色は、赤か黒、または縞などの遺伝子を隠し持っているのが普通です) 

猫の毛色を赤にする遺伝子は性染色体であるX染色体(オス・メスを決める遺伝子)にあるため、赤と黒の毛色を一緒に持つ猫(混色、または三毛など)は、一方のX染色体に赤にする遺伝子があって、もう一方のX染色体にはその遺伝子がないという状態、つまりX染色体が2本なければならないので、全てメス猫(XX型)になります。このような理由から、この毛色の猫はメス猫に限られ、稀に見られるオス猫は遺伝子の異常で誕生し ます。(オス猫はXY型で、Y染色体はオスの性を決める染色体で、毛の色を決める遺伝子を持ちません。)            


9,ベッコウ(トーティシェル)  

美しいサビの色調は、黒が2に対して赤トラが1以下の割合です。サビとベッコウを1つの色とする場合もありますが、ここでは黒の強い混色をサビ、赤トラの強い混色をベッコウに分類しています。

鼈甲(べっこう)は、ベッコウ細工の琥珀色の中に黒の斑模様がある)からの連想ですが、黒よりも赤トラの部分が多い場合は、まさにベッコウ色です。すなわち、地色が赤トラで、黒の斑が交じった毛色です。

この赤味の強い毛色を赤サビとして、黒味の強い毛色を黒サビとする場合もあります。

10,サビ(トーティシェル)  

錆(サビ)は、黒の中に赤トラが重なるように混じり合ったもので、黒の部分が多く、赤トラの部分が少ない毛色です。日本猫の場合は黒の毛色の中に赤トラの毛色が差し毛のように混じり合った色調が多いようです。  

全体がトラ縞に見える場合がありますが、サバまたはキジの縞の中に赤トラが入ると「ムギワラ」と呼ばれ、ベッコウとは別の色に分類しています。

 毛色の遺伝に関して新本美智恵さんのアドバイスを参考にいたしました。