『他のペットと仲良く暮らそう』

 by  Miki Ishimoto  Photo 月刊誌「CAT’s」  監修・補填 猫ひげ


  日本のペット人口は年々増加して、最近では、テレビや雑誌などで、猫が、犬やウサギ、小鳥たちと仲良くしているシーンをよく目にします。それはとても微笑ましい光景です。 まったく習性が異なる動物を複数で飼育する場合、仲良くする動物もいれば、お互いがケンカしてケガを負わせて、死に至らせることもあります。

  猫などの肉食動物は、自分より大きくて強そうな動物には防御的な攻撃態勢をみせ、小さくて弱そうな動物は、狩猟的な攻撃本能を持ち、それを食べてきました。

  しかし、ペットとして飼われている動物は、飼育される目的や環境によって、攻撃的な部分を少なくしてきました。例えば、屋内で飼われている猫たちは、飼い主から満足するだけの餌をもらっているので、ネズミを見つけても食べようとはしませんが、本能的にそれを捕えて遊ぼうとします。また、他の動物と一緒に育ったりすると、その存在に違和感を持たないで、かえって仲良くするケースも多いのです。

  すなわち、他の動物に対して攻撃的になる猫は、成猫になるまで人間以外の動物と接触できなかった場合や、小数飼いの猫が多いようで、子のような猫をいきなり他の動物と一緒に生活させることはかなり難しいと思います。         

  これから猫以外の動物を飼おうとする場合、その猫が、日頃どのような物に興味を持っているか、他の動物のビデオやヌイグルミ、おもちゃを使ったりして、その性格などを良く観察することが大切です。そして、一緒に飼う動物の本能や習性の知識も必要です。

  ニャンちゃんとワンちゃんは、案外簡単に仲良くなります。子猫だって一緒に育ててますよ・・・

『金魚や熱帯魚』

  猫と金魚をイメージすると、猫が魚を加えて逃げている「サザエさん」の曲が浮かびませんか?    

  猫を飼っていると、熱帯魚などは猫に食べられてしまうと思っている方も多いかも知れません。

  確かに、最初は熱帯魚に興味を持ち、水槽の中のブクブク出る泡を取ろうとしたりしますが、取れないものだと知るとあきらめも早いようです。

  熱帯魚の水槽は大から小までありますが、一般的に使用される水槽は、水が50リットル入る程度で、その中に砂利や器具が加わるとかなり重いものになり、猫がいたずらしても倒すことはないようです。しかし、金魚鉢などで小さな水槽は、猫の手の届かない場所に置いたり、上からいたずらしないような工夫が必要です。 

  大半の水槽には、照明器具に水がかからないように、ガラスやアクリルのふたがついていますので、それがずれなければ猫がいたずしたり、落ちたりすることはありませんが、念のため、ふたをテープで固定すると良いでしょう。また、いろいろな電気器具がついていますので、猫がコードをかんで感電することを防ぐために、幼児用のいたずら防止カバーをつけてください。そして、魚類はとても繊細な神経の生き物なので、なるべく猫の手が届かない場所で飼うことをおすすめします。

  お魚はきれいでユラユラしているから、とっても興味があるけれど・・・

 『は虫類』

 ありゃりゃ・・・亀さんだ・・・変なものかぶっているんだなー・・・
  は虫類も大きなブームのようで、ワニのように大きくなるものから、トカゲやヘビ、小さなカメなど数多くの種類がいます。    

  一般に、は虫類の飼育には、それぞれの大きさの水槽を用いたり、大きなガラス室を設置しますが、種類によっては動きが機敏で、逃げ出してしまうことも多く、部屋で放し飼いすることが大変難しいようですし、猫と一緒に飼う場合は、仲良くするのはよほどの偶然だと思います。

  また、は虫類は変温動物のため、適度な温度を保つ必要があるので、いろいろな電気器具を使います。このため、猫が配線コードをかじらない工夫が必要です。

  その他の注意として、は虫類を触った後には手を洗うように習慣づけるなど、常に清潔を心がけてください。カメの甲羅は細菌がつきやすく、その他のは虫類も寄生虫や細菌を持っている可能性もあるので、念のため、専門の獣医さんに検診してもらうと安心でしょう。 

  は虫類の中には、生肉などを与える場合がありますが、生ものは室温によって腐敗しやすいので、猫が残り物を食べないように注意してください。  

  小さなは虫類を飼育する水槽やケージは、猫の手が入らないように、目が細かくて破れにくいステンレス網のふたの使用をおすすめします。

 『ハムスター、ウサギ、フェレット』

  最近では犬や猫のほかにも、いろいろな小動物がブームになっています。人気になるのは、可愛い、鳴かない、しつけが簡単、そして人に良く馴れる動物です。        

  ウサギの種類もいろいろあり、中でも小型のワーフ種に人気があります。フェレットは人に馴れてしつけも簡単で、ハムスターは子供の動物飼育の入門のようです。このような小動物と猫を仲良くさせれば、テレビ出演も可能ですが、とても難しいことも多いのです。

  さて、猫には、この小さな動物たちはどのように見えるのでしょう?

  幼猫の頃から自分よりも小さな動物を知っているなら、ごく自然に仲良くなるケースもあります。それに、ハムスターやウサギなどの小さな動物は、若い猫にとっては生きたおもちゃに見えるかも知れません。      
でも、猫と小さな動物が仲良くしてても、「猫は天性のハンターである」ことを忘れないでください。       
  反対に、ウサギやフェレットは素晴らしい武器を持っています。猫キックより強力なウサギキックと鋭い歯、フェレットには強烈な悪臭のオナラ(目に入ると失明もある)がありますから、フェレットを購入するときは臭線が手術で取られていることを確認してください。

  また、ハムスターの防御は、逃げ隠れしたり、捕まりそうになると死んだ振りをしますが、猫のいたずらが過ぎると、ストレスが溜まって脱毛したり、共食いする場合もあります。そうならないように、猫ケージの中にハムスター用のケージを入れるなどの工夫が大切です。

  小動物は、猫よりもノミや耳ダニがつきやすく、寄生虫の注意が必要です。ケガを防止するためにも、猫に限らず、ウサギやフェレットもつめを切るようにしてください。


 何匹いるのかな??

  左から、下敷きになった子猫、ハムスター、乗っかりの子猫、眠りの子猫・・・

 鳥類

  一緒に遊ぼうよって、インコちゃんが名前を呼ぶんだよ・・・

  動物好きの人なら、セキセイインコ、ジュウシマツ、ブンチョウのような小鳥を飼った経験がある方も多いと思います。

  性格がおとなしくて母性本能の強いメス猫なら、小さなヒナ鳥を一緒に飼うと、小鳥が猫を親だと思い、楽しい関係になることがあります。

  わが家でもインコが4羽いますが、時々、猫が鳥カゴの上で眠ってしまったり、近くで遊んだりすると、鳥たちは暴れ回り、疲れて下のほうで小さくなっていることがあります。 人や他の動物には恐怖換を持たない手乗りの小鳥でも、猫がふとしたことで驚かせてしまうと、部屋の壁にぶつかってケガをしたり、屋外に逃げ出したりしないように気をつけてください。

  鳥カゴは、中で暴れても羽が傷つかないように大きなものを使い、エサの出し入れ口には止め金をかけてください。籠を吊り下げるときは、猫が届かない高さと工夫が大切です。 小型のインコなどに使用するカゴの目はとても細かいので、猫の手が入ったり、くちばしでつつかれてもケガをすることは少ないのですが、大型のインコや九官鳥のカゴは、大きくて編み目も開いているので要注意です。 オウムのくちばしはナッツを割るほどの頑丈で、九官鳥のくちばしは鋭く尖っています。 大きな猫用のケージに、鳥カゴを入れておけば、ひっくり返されることもないし、お互いがケガをしないですむでしょう。