茶トラバッパは、もっと教えてくれた。
  「お嬢さんは話さなかったけれど、本当はお前たちを育てるのに大変だったんだよ」って・・・、

  鼻はプシュプシュ音を立てるし、目はクシャクシャで真っ赤に腫れてくっついていた。
  ウンチはクリーム色で水みたいに流れて、脱水症状が進んでいたらしい。

  「泣き声に元気が有るから……、何とか助けましょう」と、近所の獣医さんが、補液と栄養の大きい注射を打って、ノミ退治もしてくれた。幸い、耳の中はきれいだった。

  「どうやら牛乳を飲ませたようですね。牛乳は慣れないと消化不良になります。回虫はいないようですよ。条虫が出るかも知れないが、駆虫するのはもう少し待ちましょう」

  年配の獣医さんは検便をしながら、自分の診断にウンウンと納得するようにつぶやいていた。でも、一番弱っていた白毛の子猫は、次の日に死んでしまった。

  元気な三匹は、三日続けて注射して、回復に向かったんだよ。

  茶虎バッパはしんみりしながら話を続ける。
  「お嬢さんは獣医さんの指示で、赤味の鮪を生のまま細かく叩いて、ティースプーンに一杯だけ、朝も昼も晩もお前たちの口に入れたんだよ」 
  
  四日目になって、親切な獣医さんに笑顔が浮かんで「この三匹は、もう心配無いでしょう」と言って、栄養たっぷりな子猫専用の缶詰と、猫専用ミルクを渡した。

  すぐにお前達は、ミルク瓶を見ただけで、先を争ってミヤーミヤー泣くようになった。一日、三回食べて二回飲んだそうだ。

  トイレの仕付けは、以外に簡単で、上手に用足しをしたけれど、身体には大きすぎる水切り篭を利用したのに、みんながカキカキするから、砂があっちこっちに散らかったそうだ・・・

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