かぜをひかないように、お嬢さんは俺の体をスッポリとバスタオルで包んで、それからキッチンタオルで水気を切ってくれた。それからドライヤーを取り出して濡れた体を乾かしてくれた。
シャワーよりもハンドドライヤーの音がウォーンとうるさくて、台風の日よりももっと強い風が吹き付けられる・・・
これは夢だ。悪夢だ。
「ツートンは結構シャイなのね」
俺は無我の境に入ろうと息をこらえて、身体の筋肉を固くしているだけなのに、そんなふうに言われるとは心外だ。
その日から毎日、絹の裏地で百回、セム皮で百回、猫入門書に書かれている通りに磨かれた。
抜け毛が一本も出なくなって、白い毛は白く、黒い毛はピカピカに光った。
まあ、我ながら満足、満足。でも、「ダイエットが必要だわ」って言われて、あんなに約束したフライドチキンが無視されてしまった。
猫のシャンプーの方法・基礎知識