ついでに「猫が長生きしても、たかが20数年、人が100年生きたとしても、遅かれ早かれお迎えが来るんだ。そこで猫に大切なのが、今をどう生きるかってことなんだよ」と説教された。・・・その日暮らしの猫に無常は難しい。

 最近、バッパは集会に出かけるのも面倒らしく、遠出してもせいぜい家の周りの300mくらいまでだ。「最近はアチキの目の届かないことが多くなったし、世の中も変わっちまったようだね」とボヤくのが口癖になった。

 もっと遠くで心配事が起こると、きまって俺が使いに出されるけれど、「何にも変わった様子は無かったよ」何て報告しようものなら、「もうちっとはましな物見はできないのかえ」と、ガッカリしたように肩を落として見せるのだ。

 バッパの後継者になるのは大変な修行が必要なのだ。バッパはいつもノラ猫たちの幸せを考えている。新しい噂話を聞くと、耳をピクピクさせて、「そいつは問題だね、ちょっくらみんなに集まってもらうかね」と、猫集会の回覧版が回される。

話の中身は知らせないのがコツで、みんな何ごとかと緊張して集まってくるのだ・・・

   つづく・・・