今日は日曜日、昼前になって、クロちゃんは俺をひょいと小脇に抱えて、荷物と一緒に車に乗せた。

 クロちゃんは慣れた手順で売り物を並べていくが、俺は我慢してたウンチを植え込みで済ますと、まだ散策するには時間も早いので、もう少しクロちゃんの側にいることにした。

 退屈なので雲を見ていた。 
 雲を見る時は、腹の丸出しの大の字で寝転がるのが楽チンだ。俺の真っ白な腹にはちょきのボタンみたいに黒のポチポチが二列に付いているが、いつの間にか眠ってしまったら、これがひょんなことから人集めに役に立った。

 俺の股間をしげしげのぞいていたオッパイだらけのボデコン娘が、玉無しを確かめて「無い、やっぱり無い」とすっとんきょうに言ったので目が覚めた。

  クロちゃんははアホタレと言う顔付きで、俺の又倉に『丸秘・のぞくな』と書いた小さな紙切れを乗せた。

 それが面白いと人だかりがしてカメラを向ける人がいたり、何だかへんてこな展開に、俺は完全な金縛りになって動けなくなったが、お店は大繁盛になった。

 広場にパントマイムのアングラ劇団が表われて、やっと人垣が動きだした。二人の男はオールバックで白いYシャツに黒の釣りズボン、三人の若い女の子はフレヤーの多い白のワンピースで、走り出したと思ったら、クネクネ、クルクル回って、俺には何を表現しているのかさっぱり分からない。      

 ベンチで手枕して横になっていたハンチングの若い外人が、足下から表われて頭の方角に移動する一団を見詰めるうちに、コロンとベンチから転げて、それが大うけにうけていた。


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