数日後・・・・               
 お嬢さんが妙に優しい言葉を使うので何かあるなと用心していたのに、「お利口にしていたらフライドチキンよ」と、取って置きの切り札を使われて、風呂場に連れて行かれた。

 くるぶし位までお湯の溜まった洋風のバスタブにそっと足から入れられて、両手ですくったぬるま湯が身体に掛けられた。しまったと思う前に水浸しになって、俺は不覚にもニャーと声を出してしまった。

 高級猫シャンプーだって、俺にはそんなもの不似合いだ。
 「ツートンは本当は美男子なのよね」・・・いつもの俺はどんな風に思われているのだ。
 「ほーら、気持ちがいいでしょう」・・・いいわけがない。水遊びは嫌いじゃないが、体が濡れるのは真っ平ごめんだ。
 「お顔はいつも自分で奇麗にしてるから、このガーゼで拭きましょうね」・・・赤ちゃん扱いは止めてくれ、玉は無いけど立派な男ネコだ。

 泡だらけにされたあげく、勢いよくシャワーのお湯が掛けられて、掌で水気が切られると、バスタオルに包まれた。「早く乾くように、もう少しこのまま抱っこしてようね。

  それにしても重たくなったのね」お嬢さんのおっぱいがプリンと触って満更でもないけれど、うれしいやら情けないやら、ほらほらと言いながら爪切りまでされちまった。

 これじゃあ大事な爪が元通りに尖るまで当分の間は外で遊べないよ。
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