猫集会の回覧版・・・・

  猫の集会はいつ何時にと決まっているわけではないけれど、天気の良い日暮れ前に、近所のひまな猫たちが思い思いに集まってくる。

 猫の寄り合いなんてものはいつだって大した話題も無いのだが、集会で何が大切かと言えば、古参猫の消息と新入り猫の顔つなぎだ。

 茶トラのバッパは散歩がてら、気分しだいであちこちの集会に俺を連れて顔を出すが、俺を紹介するときは、いつだって「まだまだヒヨッコの青二才なもんで・・・」と前置きをする。

 ちょっと顔を知られてくると“ヒヨコ”は消えたけれど、おべんちゃらな猫に「ツートン君もなかなか貫禄が出てきて・・・」なんて言われると、「いやいや、まだまだ世間知らずで・・・」と、俺の代わりに謙遜して見せるのだ。





それでもバッパについて回るのは楽しい。歩きながら話しを聞いていると、俺も物知りになれる。

 でも、「最近は新参猫が増えたね、生意気にもアチキにちょったを仕掛けてくるからね」と、切り出しは静かでも、「お前はいつまでものほほんとしていちゃいけないよ。
 ちょろりちょろりと余所見をしながら歩く癖があるからみっともないよ」と、いつの間にか説教になる。

 
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