「歩き方にも貫禄ってもんが大事だよ。もっと尻尾を上げなきゃね・・・」と言うが、俺の尻尾は元々が短いのだ。ちょっとむくれていると、バッパは涼しい顔で「尻尾のある無しなんかは問題じゃないよ。そういう気持ちが大切なんだ」と理屈を立てる。

 さらに追い討ちがかかって「世間体ってもんがあるからね、お前も図体ばかりでかくならないで、そろそろ本物の貫禄をつけなければいけないよ。いつになったらアチキの気の休まる日が来るのかね、あ〜あ・・・」とため息までついている。

 答えようが無いし、答えたところで、また「他所のもんはお前をアチキの後継者だと言うけれど、アチキもそれが良いと思っているよ、でもね、お前にはその自覚ってもんが欠けてるよ」と、挙句の果てにとばっちりを受けるに決まっている。

 次第に話はエスカレートして、「亀は千年、鶴万年・・・」と言うから、「前に聞いたときは鶴が千年だったよ」と聞き返したら、ちょっとバツ悪そうに見えたけれど、「お前はすぐに話をはぐらかそうとする悪い癖があるよ、アチキの言いたいことは、どっちが千年だろうと・・・そんな屁理屈なんかじゃないよ」と、すぐに態勢を立て直して、「何が千年万年生きようと、”世の無常”を知らなきゃいけないってことだよ」と素知らぬ顔をしている。

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