冒険(その三)……俺は居候……。

 「今朝は朝焼けも朝虹も無いからは雨の心配は入らないよ」と茶トラバッパにせかされて出掛けて来たのに、ポチョンポチョンと雨が鼻先に当たって目が覚めた。

 
最近はバッパの天気予報もあんまり当てにならい、そんなことを言おうものなら、「そうかい、そうかい、アチキももうろくしたよ。あんまし永くは無いからね」毒づいて涙目で横向くのに決まってる。・・・俺は困った、すっかり寝ちまって公園の調査が未だ終っていないのに雨が強くなりそうだ。 
    

 
「君は首輪をしているから野良じゃ無いでしょ、早くお家に帰りなさい。」とクロちゃんは帰り支度を始めた。 

 俺がモジモジしてどうしようかと決めかねていると、「また連れてきてあげるから、お姉ちゃんの家に行こうね………お友達もいるよ」と、ポンコツに近い黄色のかぶと虫ワーゲンに乗せられた。地獄に仏とはこのことだ。         

 
助手席に座って運転中のクロちゃんをチラッと見ると、穴開きジーンズでアクセルを踏む右足の膝小僧が色っぽい。スタイルは太り気味だけれど、汗かいた鼻は丸っこくて形よく、目元にうっすらソバカスが浮かんで、唇はポテンとして、スッピンだけどなかなかのベッピンさんだと品定めする。

  以前、茶虎バッパに俺の好みの女性のタイプを言い当てられたが、正にその通りだ。

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